【ジョーンズの日記】最終話

〈前回までのあらすじ〉

 とある場所で発見された1冊の本。表紙に埃はかぶり、紙は黄ばんでいる。裏表紙には、ジョーンズとだけ署名がされ、各ページにはモノクロの写真が挟まっていた。拠点を建設したジョーンズ。しかし遭難から12日目に拠点が火事で燃えてしまい、食料も燃え、失意の底に落とされる。彼の元にあるのは、日記と数本の鉛筆、そして記録用のカメラ、着ている服とバックパック。生き延びる為、そして祖国に帰還する為、ジョーンズは川を探す。

 

14日目

 拠点が燃えてから2日間この地を歩き続けたが、川の音も何も聞こえてこない。私がこの木々の中で生き絶えるのは神の思し召しなのか。神などいるのだろうか。神がいるのならば、この私を助けてほしい。どうか祖国に戻らせてほしい。

 

15日目

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歩き続けると、目の前に開けた空間を見つけた。水の音が微かに聞こえた。奥に何かあるようだ。苔に覆われ、あらゆる所からツタが垂れ下がっている。階段があった。自然に作られたものとは、到底思えない。何か彫ってある。原住民の住処なのだろうか。地方と比べて、微かに肌寒い。何処からか風が吹いている。

 

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泉のような、池のような箇所があった。奥には骸骨のようなレリーフが3つ彫られている。体を清める場所なのだろうか。この地域の人々の洗礼場所のような神聖な場所なのか。水深は深そうだ。

 

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階段が再びあり、そこを下ると開けた場所に出た。どうやら巨大な洞窟のようだ。天井のいくつかの場所は崩れている。そこから差し込む光が美しい。階段を下まで下ると、足が水に触れた。大きく、平たい岩がある。凹凸があった。これにもレリーフが彫ってあるようだ。何のレリーフかは不明瞭。段差があり、奥には螺旋状の柱がある。これも自然にできたものとは思えない。周りを見渡すと、同じような柱が幾つかあった。

 

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中心には何か祭壇のようなものがある。手を入れると、丸く窪みがある何かがあった。

 

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祭壇の下に置かれていたのは、漆黒の骸骨であった。

 

 

夢を見た。

名も知らない人が目の前に立っていた。彼の肌は浅黒く、初めて見る顔だった。私は彼の名を聞いた。しかし彼は口を閉ざしたまま何も答えなかった。

すると彼の肉体が崩れ始めた。崩れるというか、腐敗し始めた。肉が削げ落ち、だんだんと骨があらわになっていく。骨盤、肋骨、そして頭蓋骨。しかしどの骨も色は白くない。漆黒。夜の闇をそのまま映したような色だ。

目の前の"彼"は骨だけの姿に変化したものの、直立している。私は金縛りになったかのように、その場から動けなかった。どうする事も出来なかった。恐怖と好奇心が混じり合い、逃げ出したいという気持ちとその"彼"を見ていたい。そのように相反する気持ちが私の中で同時に存在していた。

すると彼は次第に大きくなった。この夢という空間がどれくらいのものなのか分からないが、それを囲うように巨大な姿になっていった。すぐに私の夢の空間は闇に包まれた。

闇を見上げていたら、鷺が飛んでいた。鷺は頭を少しこちらに向けたかと思うと、会釈をした。少なくとも私にはそう見えた。眩い閃光とともに火と煙が視界を遮った。煙が風に吹かれどこかへいくと、私の目の前にその鷺が落ちていた。すでに冷たかった。その鷺は死んでいた。再び闇を見上げると、無数の鷺が飛んでいた。彼らは閃光がはしる度に落ちていった。

「目を閉じろ、ジョーンズ!」

いつのまにか荒涼とした平原にいた私は、その声を聞いた。誰かの声のようでもあるし、人間ではない何かの声にも聞こえた。私はその平原を前に進もうとした。しかし得体の知れない力に引っ張られ、前には進めなかった。後方からも、上からも引っ張られた。体がちぎれそうだった。もう駄目だ、そう思うと、目の前から荒涼とした平原は消え、その代わりに砂の平原が現れた。空の闇は消えず、歩く気にもなれず、ただただ砂に横たわった。そうしたら蛇が現れた。砂の上を這っている。こちらに向かってきた。私は喰われることを覚悟し、待った。そして再び闇に包まれた。

 

 

 

 ページはそこまでしか書いていなかった。その後には文字どおり何も書いていなかった。ジョーンズが何処にいるのか私には分からない。彼が何の為にジャングルに行ったのかも不明だ。いくつかの手がかりを頼りに私はジョーンズが行ったとされるジャングルに行った。この事は私と何人かのクルーしか知らない。この深い海の底にいる私たちの存在を誰が知り得よう。ジョーンズの日記が存在することさえも、地上の世界の人間は知らないだろう。

 

その男はそう思うと、鉄製の階段を降り、サロンへ行った。数え切れないほどの本から世界地図とメソ・アメリカの伝説をまとめた本を取り出した。読み進めていくと、その男は漆黒の頭蓋骨について書かれた伝説を発見した。その男はそのページだけを破り、制服のポケットに丁寧に折、しまった。

 

THE END

 

 

 

 

 

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