#27:『紅の豚』レビュー

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紅の豚

(1992年/監督:宮崎駿

 

 スタジオ・ジブリ作品には、名作が沢山あるけれど、その中でも一番二番を争う、自分の好きな作品が『紅の豚』だ。ただの豚の話だと思って、観るのをスルーなんてことは、止めといたほうがいい。ダミ声で、紅の飛行艇を乗り回す豚が主人公の作品なんて、この作品以外にあるだろうか。空から女の子が落ちて来たり、真っ白で巨大な狼がいるわけでもない。けれど十分に傑作といえると思う。喋る豚なんてのは、ディズニーのアニメーション『三匹の子ぶた』(1993)以来だろう。その音楽、アニメーション、登場人物(豚も含む)、物語。これ程にも全てが魅力的な作品は、中々ない。

 主人公のポルコ・ロッソは、豚。何で豚に惹きつけられるのか、豚をかっこいいと思うのか。ポルコのようになりたいと思わせるのか。考えても分からない。男女問わず、ポルコは格好いい存在。"何で豚になったのか"そんなことどうでもいい。なったものは、なってんだから仕方がない。「俺は自分が豚であることを恥じてやしてないぜ。豚の方が人間よりも数倍いいさ」そんな声が聞こえて来そうだ。

 音楽はイタリア風の音楽が多い。お洒落。特にホテル・アドリアーノという、海に浮かぶホテルを経営しているジーナが歌う1曲。「さくらんぼの実る頃」。これがレストランのテーブルに置いてあるロウソクのような感じで、作品にそっと寄り添うように流れる。何を言っているかは分からない。イタリア語だから。けれども聴いていると、落ち着くし、どこか懐かしい。エンドロールに流れる「時には昔の話を」もいい。寂しげなのだけれど、希望を感じさせるような、懐かしいような。永遠に聴いていたい曲。

 作品に漂う雰囲気、ポルコを愛する女性たち、ポルコを助ける人たち(中でもフェラーリンは最高の友人。こんな友人が欲しい。)、ポルコを追う人たち。音楽や景色の描かれ方。アドリア海。その海上を飛び回る飛行艇。『紅の豚』の全てが好きだ。

「飛ばねえ豚は、ただの豚だ。」

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