【ジョーンズの日記】第3話

〈前回までのあらすじ〉

 とある場所で発見された1冊の本。表紙に埃はかぶり、紙は黄ばんでいる。裏表紙には、ジョーンズとだけ署名がされ、各ページにはモノクロの写真が挟まっていた。この日記と思われる本を所有しているらしい、ジョーンズという人物は、船でイギリスからジャングルを訪れたようだ。何処のジャングルかは、不明。彼は生き延びるために拠点を建設し始めた。写真を見ると、高床式の拠点を建てたらしい。祖国に、ヘンリーという友人がいるようだ。

 ジョーンズという人物は、何故このジャングルにいるのだろうか。彼の目的とは一体何なのか。そして彼は、今何処にいるのか。日記を読み進めていく度に、分からないことが増えていく。

【ジョーンズの日記】第1話 - 自然堂書房

【ジョーンズの日記】第2話 - 自然堂書房

 

 4日目を境にして、ジョーンズ氏は記録を残していない。ページの下に、小さく黒い線が7本引かれている。ページをめくると、12日目と書いてある。どうやら最後に記録した日から7日の時が経っているようだ。 

 

12日目

 以前発見した、赤い果実を採りに少し遠くまで歩いた。その日、赤い果実は見つからなかった。拠点まで戻ると、燃えていた。私の目の前で燃えているのだ。木を倒し、建設した拠点が燃えている。階段を登り、食糧などが入った箱を取ろうとしたが、既に手遅れであった。私は、燃えている拠点をカメラに収めるしか、なす術はなかった。

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 夜が明けるまで、燃え盛る拠点を見つめていた。火の熱さを肌に感じる。このまま拠点と一緒に燃えてしまえばよかった。寝ている間に、火がまわれば、苦しまずに神の元へ行けたかもしれない。何故、このような目に合わなくてはいけないのか。朝になり、拠点があった場所には、焼け焦げた木の残骸と灰が積もっていた。

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 今、手にあるのは、この日記と数本の鉛筆。そして記録用のカメラ、着ている服。それとバックパック。それだけだ。私の命は、そう長くないかもしれない。しかし、祖国には会わなければいけない人がいる。このジャングルの中で死ぬわけにはいかない。川を見つけよう。そうすれば、川を下り大海へと漕ぎ出せるかもしれない。

川を探そう。しばらくは、最初のように洞穴で夜をしのぐしか、術はなさそうだ。

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