世界報道写真展 2017

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 8月6日。最終日に東京都写真美術館にて開催された『世界報道写真展』を訪れた。「変えられた運命」というフレーズ。大げさだと思った。しかし、それは間違いだった。展示されている写真に映されているのは、何かによって人生・運命を変えられた人々だ。命を落とした人の姿、動物の姿。日本に暮らしている我々には考えられないような境遇にある人々。その瞬間が、一つ一つの写真に捉えられている。「変えられた運命」、これ以上に世界報道写真展にふさわしいフレーズはないだろうと思う。

 

世界報道写真展とは

世界報道写真展」は1955年にオランダのアムステルダムで、世界報道写真財団が発足したことにより、翌年から始まったドキュメンタリー、報道写真の展覧会です。毎年、1月~2月にかけて主に前年に撮影された写真を対象にした「世界報道写真コンテスト」が開かれ、十数人からなる国際審査員団によって選ばれた入賞作品が「世界報道写真展」作品として、世界中で展示されます。

世界報道写真展とは 世界報道写真展2017

 

写真の向こう

  目の前に展示されている写真を見る。そこに写真があるということは、誰かがその写真を撮ったということだ。私達は、印刷された写真を見ているだけだが、その写真を撮った人は、実際にフィルタに収めたその映像を見たということだ。一見、当たり前のことかもしれない。けれど、その事実は「写真」というツールの力強さや素晴らしさを教えてくれるのではないだろうか。

 

暴力と血と死

展示された写真の中には残虐なものもあった。

 アンドレイ・カルロフ駐トルコ・ロシア大使が暗殺された瞬間を捉えた写真。右手に拳銃を持ち、左手を高く上げ「アッラー・アクバル(神は偉大なり)」叫んでいるスーツ姿の男性。そして彼の後方には、人が倒れている。

 シリア最大の都市アレッポでの一枚。そこには、複数の赤ん坊を抱え、戦場を後にする男性。生まれて数ヶ月も満たないにもかかわらず、戦いの犠牲となった子供。その遺体を見、泣いている親。

 地中海に浮かぶオレンジ色の何か。それは救命胴衣を身につけたまま遺体となって浮かんでいる一人の人間。アフリカから、より良い暮らしを求めヨーロッパに渡ろうとする人々。しかし豪華客船などに乗れるはずもなく、狭い船底に入り、海を渡る。それが原因でヨーロッパに着いたものの、窒息死してしまった人。その遺体を見る兄弟。

 自爆テロに巻き込まれた、弁護士達の遺体。真っ白なワイシャツにべっとりとついている血。生き残った人も頭から血を流している。

 

変えられた運命と人間

 なぜ同じ地球に生きているのにも関わらず、こんなにも何かの犠牲となる人々がいるのか。写真に移されたその光景には、「誰が正義か。誰が悪か。」なんていうものは映されていない。そこにあるのは、争う人々。遺体。爆発。死。なぜこんなことが起こるのか。こういったことが起きているにも関わらず、何もできない自分は無力だ。いや、何もしようとしていないだけなのか。

 初めて写真展というものを訪れた。しかしこれ程にも心を動かされるとは思ってもいなかった。世界報道写真展 2017。『変えられた運命』。

受賞作品など、複数の写真は公式サイトにて確認できる。是非見て欲しい。

 

www.asahi.com

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