ジャコメッティ展:国立美術館にて

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 国立新美術館で開催されている『ジャコメッティ展』へ行った。ジャコメッティの作品、そしてもちろん彼のことは全く知らなかった。見るもの全てが初めてだった。感想はというと、「さっぱり分からない」。しかし、分からないなり考えた。すると、"人間が見た人間"、"樹"、"足"、"乳房と子宮"という4つの言葉が思い浮かんだ。

 

 

アルベルト・ジャコメッティ

 スイスに生まれ、フランスで活躍したアルベルト・ジャコメッティ(1901-1966年)は、20世紀のヨーロッパにおける最も重要な彫刻家のひとりです。アフリカやオセアニアの彫刻やキュビスムへの傾倒、そして、1920年代の終わりから参加したシュルレアリスム運動など、同時代の先鋭的な動きを存分に吸収したジャコメッティは、1935年から、モデルに向き合いつつ独自のスタイルの創出へと歩み出しました。それは、身体を線のように長く引き伸ばした、まったく新たな彫刻でした。

 ジャコメッティは、見ることと造ることのあいだで葛藤しながら、虚飾を取り去った人間の本質に迫ろうとしたのです。その特異な造形が実存主義現象学の文脈でも評価されたことは、彼の彫刻が同時代の精神に呼応した証だといえましょう。またジャコメッティは、日本人哲学者である矢内原伊作(1918-1989年)と交流したことでも知られ、矢内原をモデルとした制作は、ジャコメッティに多大な刺激を与えました。

ジャコメッティ展 | TBSテレビ

 

人間が見た"人間"

 ジャコメッティのことは何も知らない。彼の作品が美術の教科書に載っていることを思い出した。それ故に、今回ジャコメッティ展を訪れたわけだが、いざ訪れてみると、何もかもがよく分からなかった。周りの人にも聞いてみたくなった。「これが何を表していると思います?」と。美術とは、そういうものなのだろうか。一つの答えなどないのだろうか。

 目の前にある様々な彫像。人間であることは分かる。けれど、そのどれもが、細く、か弱く見える。しかしそれはジャコメッティという人間が見た"人間"なのだ。作品解説か何かに、こう書いてあった。ジャコメッティは『〈生〉というものに固執した』。というこは、この細く弱々しく見える彫像達は、ジャコメッティの表す・見た〈生〉というものの姿なのだろうか。

 

樹と同じ

 細く弱々しい。しかし生きている。そういうものは自然の中に五万とある。例えば樹。樹は太い幹があり、枝が分かれ、その先にさらに細い枝がついており、葉がある。細いながらも、青々とした葉をつけている、その様子は生命の力強さを感じるとともに、生命の脆さをも感じる。ジャコメッティの製作した彫像達は、それと同じようなものを感じた。

 

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 彫像達を見ていて、感じたことがある。男性像、女性像、動物像全てに共通するものだ。それは、その"足"の部分だ。か細い体と対照的に、足の部分は、随分としっかり作られている。足首からつま先にかけて、直角三角形のように彫られている。彫像を支えるという理由ももちろんあるのだろうが、他にも理由があるのではと考えた。

 足は人間にとって重要な部分だ。足をもって、人は移動する。足で移動することで、人間は世界各地に散らばった。ということは、"足"は人間の繁栄の象徴なのではないだろうか。足があることで、人は立つことが出来る。

 

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乳房と子宮

 ジャコメッティが作る彫像は、人間がほとんど。その中でも比較的女性像が多い気がした。「小像」という作品でも、その容姿は女性。なぜ男性像ではなくて、女性像が多いのかを考えた。それは、やはりジャコメッティが追い求めた〈生〉に関係しているのだと思う。

 女性像のどれもが、どれほど細くても乳房と子宮の部分は彫られている。なぜだろうか。生命は女性の子宮から生み出される。そして、その乳房でその命を育てる。これはジャコメッティが感じた"生命の神秘"であり、"象徴"、"生命の躍動"であったのだろうか。

 

人間とは。生命とは。

 ジャコメッティ展を見終え、彼の作品について考えさせられた。理解できない、分からない、という感想を先に持った。しかし、この棒のようなものがなぜ人間なのか。人間はこのように脆いものなのか。生命とは。人間とは。そういう哲学的な思考に陥ってしまいそうになる展覧会だった。

  『ジャコメッティ展』は、国立美術館にて9月4日まで開催されている。理解せずとも、何か引っかかるものを残してくれる展覧会だった。是非訪れてみては。

 

www.tbs.co.jp

 

追伸

ジャコメッティ展を訪れるきっかけとなった記事。確かに解釈は人の数だけありそうな作品ばかり。そして「ポッキー見たいだ」と、私も思った。

makkikka.hatenablog.com

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