江戸小唄「一人寝・無理な首尾してわくせきと」

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高橋竹山氏の演奏をYoutubeで聴いてから、僕の中でとある疑問が浮かんだ。

「日本人であるのに、日本のことを何も知らないのでは。」

小学生の時に学んだ、民謡『お江戸日本橋』。演奏方法などは学んだにもかかわらず、先生がお話ししてくれた、その起源などは、記憶にほとんど残っていない。そこで「日本」について、もっと知ろうと思った僕は、手始めとしてYoutubeで『お江戸日本橋』から検索し、その関連動画に出てくるものを、漁るように聴いた。その中でも特に心に残ったのが、江戸小唄「一人寝・無理な首尾してわくせきと」だ。

まずは、とくと聴いてほしい。 出来れば目を瞑って。

レコードでの音源を録音したものと思われるので、音質は決して良いものとは言えない。だがYoutubeを介してであるにもかかわらず、レコードならではの温かみを感じることができたような気がする。話が逸れてしまった。

 

何を思う

この演奏、歌声を聴いて何を思っただろうか。何を言っているのか。そう思った方はいるだろうか。僕もそうだ。江戸小唄のエキスパートでも何でもないので、正直に言うと、唄が何を意味しているのかは分からない。ところどころ分かるものはあるが、全ては分からない。

けれどどこか懐かしくもあり、聴いたことがあるような気がするのだ。「何かに包まれる感じ」とでも言うべきだろうか。何回でも聴きたくなる。この唄が何を歌っているか分からない、と言うのは日本人として、恥ずべきことではないかと思う。この唄が何について言っているのか。もっと知りたいし、自分でこれを演奏することができたら誇りに思えるだろう。

 

春日とよ

唄については分からなくとも、これを唄っている女性についてなら分かるだろう。そう思い、唄い手である「春日とよ」さんについて調べてみた。

春日とよ(本名:柏原とよ)

明治14年9月15日英国人を父に東京浅草に生まれる。

父は3歳の時に英国へ帰国するが、トヨは母方で何不自由なく育てられる。芸事が好きな祖母と母の元で、唄と踊りの手ほどきを受ける。
長ずるに及んで、常磐津、清元、長唄、荻江など各流の研鑽をつむが、 とりわけ小唄には深く傾注し昭和3年に小唄春日流を創立した。

門人・知人には田中角栄前尾繁三郎渋沢秀雄など政・財界人が多く、 また谷崎潤一郎吉井勇久保田万太郎伊東深水などの文化人との親交も深かった。

昭和29年に自伝書が出版されるが、谷崎潤一郎はその序文で「数奇な運命に弄ばれ」 た春日とよについて実に巧みに簡潔に描いたいる。
その小唄は、演奏はもとより作曲にも優れた才能を発揮し、 新派を題材にした作品を多く残すなど小唄の新境地を拓いた。

また春日流を創立してからはその芸にますます磨きをかける一方、 一段と門人の育成と指導にその生涯をかけ、その活動と実績が認められ 昭和35年紫綬褒章が授与された。

昭和36年には小唄の普及、発展を願い、全私財を投じて財団法人春日会を 設立するが、昭和37年4月13日に82歳の天寿を全うした。

春日とよ | 一般財団法人春日会

  まず読んで驚いたのは、彼女の門人・知人に田中角栄谷崎潤一郎といった、いわゆる「著名人」の名が連なっていたことだ。hontoというサイトで彼女自身による自伝書を検索したところ、その本は存在するが、どこにも在庫はないらしい。残念だ。ネットからの情報でしか知ることができないのだろうか。それとも神保町で血眼になって探せば見つかるのだろうか。

 

僕は春日とよさんを知ることができたことを誇りに思いたい。さらに彼女の奏でるものは世界にも、もちろん誇れるものだろう。「COOL JAPAN」などの日本のアニメを世界に輸出するのもいいけれど、日本の伝統的なものを国が進めて発信したら、どんなに素敵だろうか。

 

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