#15:"LALALAND" /『ララランド』レビュー

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今回レビューするのは、アカデミー賞で最多6部門に輝いた『ラ・ラ・ランド』。

【1:作品情報】

原題:"LA LA LAND"

邦題:ラ・ラ・ランド

公開:2017年

監督:デイミアン・チャゼル

出演:エマ・ストーンライアン・ゴズリング 他

 

【2:ストーリー】

夢を叶えたい人々が集まる街、ロサンゼルス。映画スタジオのカフェで働くミアは女優を目指していたが、何度オーディションを受けても落ちてばかり。ある日、ミアは場末の店で、あるピアニストの演奏に魅せられる。彼の名はセブ(セバスチャン)、いつか自分の店を持ち、大好きなジャズを思う存分演奏したいと願っていた。やがて二人は恋におち、互いの夢を応援し合う。しかし、セブが店の資金作りのために入ったバンドが成功したことから、二人の心はすれ違いはじめる……。 

映画『ラ・ラ・ランド』公式サイト

 

【3:レビュー】

トーリーはとてもシンプル。「夢を追う2人の男女の物語」。映画が始まると同時に始まる"Another Day of Sun"。いかにも「ミュージカル映画」という感じだ。車から降りて、歌い始める人々。彼らは皆、明るく、カラフルで愉快。確かに、この冒頭の場面は素晴らしいと思う。長回しで撮ったように見せる手法等々。

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けれど僕はこのシーンを素直に「素晴らしい」と言って拍手を送ることが出来なかった。なぜなら怖かったからだ。青空の下、大勢の人が一つの曲を歌い踊る。2回目鑑賞しても、この場面を僕は怖い、と思ってしまった。他に今作をレビューした方の言葉を借りると、この場面は「狂気」だと言う。この場面は「ララランド」そのものなのだ。

"La La Land"という言葉はスラングで、

・(麻薬や酒に酔ったときに味わう)陶酔境、恍惚、我を忘れた境地

・ハリウッド、ロサンゼルス(ロサンゼルス全体を指すこともあるが、特にハリウッドについて使われる場合が多い。)

らしい。このスラング通り、今作の冒頭場面は物凄く「映画的」であるし、我を忘れたような人々が快楽に溺れたように踊り狂い歌い狂う場面だ。さらにいうと全編通して比べたとしても、この場面は一番「映画的」なのだ。絶対にありえない光景。だからこそ、この場面は様々な人を魅了したのだと僕は思う。けれど"Another Day of Sun"の曲が終わると同時に、大きくスクリーンに映し出されるタイトルは素晴らしいと思った。

 

エマ・ストーン演じるミア。彼女は女優になるという夢を持ち続けている。カフェを訪れた女優に羨望の眼差しを送り、有名女優のポスターも部屋に飾っている。 どこかディズニー的な人物だと感じた。

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ディズニーにも多くの作品に「夢を叶えたい」と思うキャラクターがいる。『塔の上のラプンツェル』のラプンツェルは、自分の誕生日に現れる「空に浮かぶ明かり」の正体を知りたがっている。『ズートピア』のジュディは、幼い頃から警官になりたいと懸命に努力をしてきた。

ミアは、何度もオーディションを受けるが中々チャンスに巡り会うことができず、途中で諦めてしまう。しかし最後には自分の「女優になる」という夢を叶えた。ディズニー作品と『ララランド』が大きく違うのは、こちら(観客)側に「夢を叶えられればいいのか」と問うてくるところだ。

ライアン・ゴズリング演じる、セバスチャン(セブ)もミアと同じように「夢追い人」だ。けれど彼は「ディズニー的」な夢の叶え方ではない。より現実味溢れる夢の叶え方だ。セブはジャズの店を構えるという夢に対し、そのためには資金が必要だと考えた。

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映画中盤にセブはミアに尋ねられる。『今やっている音楽は、本当に自分のやりたい音楽なのか』と。彼はその時にどのような表情をしていただろうか。『(自分の本当にやりたい音楽ではないことは)分かってる。分かってるけれど、やらなくてはいけないんだ。』僕はそのように思えた。言葉にしたくても、自分のこの気持ちは伝わらないだろうと感じて、思ったことを言わない。そういう時がきっと誰にでもあると思う。この場面は「夢を叶えられればいいのか」という途中の葛藤を物凄くストレートに描いている場面だと感じた。

 

ミュージカル映画だけあって音楽が素晴らしかった。最初に鑑賞した直後はそれほどでもなかったのだが、帰宅後サウンドトラックを聴き始め、何回もリピートしてしまっていた。好きなのは"City of stars"と"Mia & Sebastian's Theme"。街が夜になると"City of stars"を歌いたくなってしまう。

印象的なリズム、良い歌詞。いいなぁ。切実にそう思わせてくれた。今作の歌唱シーンや演奏シーンで、スポットライトが当てられているような演出がある。これは不思議なもので意識しないで観ていると、自然と周りが暗くなったように感じた。1回目に鑑賞した時、ミアに注目した時、セブに注目している時、いつのまにかスポットライトが彼等に当てられているのだ。2回目に鑑賞した時は意識的にそこの場面を鑑賞したら、徐々に暗くなっていた。今まで僕が鑑賞した映画でこのような演出は初めてだったものだから感心してしまった。

音楽の他にもカメラワークが好きだ。全体を映すところは全体。一人を映す時は一人。動くところは動く。止めるところは止める。メリハリがはっきりしていて、観ていて気持ちいいカメラワークだった。

 

何日も置かずに2回鑑賞してしまった『ラ・ラ・ランド』 。劇場公開しているうちにもう一度観たい、素敵な映画だ。夢を叶えるまでの道のりを葛藤とともに描いてて、好きな映画になった。コンプリート・ミュージカル・エクスペリエンスバージョンのサウンドトラックも購入したいし、ブルーレイも発売されたら欲しい。部屋でずっと流しておきたい映画。でも『紅の豚』にはかなわないかな。『ラ・ラ・ランド』の評価は、

10点満点中 8.5点

未鑑賞の方は是非劇場で鑑賞してみてはどうだろうか。また後で、最後の場面や他の作品との共通点についての考察記事も書こうと思う。

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