#11:"KONG: Skull Island" /『キングコング:髑髏島の巨神』レビュー

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IMAX 3Dで"KONG: Skull Island" /『キングコング:髑髏島の巨神』を鑑賞。どんな作品なのかと聞かれたら、こう答える。「『ガーディアンズ・オブ・ザ・ギャラクシー』と『ジュラシックパーク』を混ぜたんだけど、うまく混ざらなかった、怪獣映画」。これを踏まえた上で、以降のレビューを読んでほしい。

【注意:記事には作品の内容に触れる部分がある。読み進めるかどうかは、あなた次第】

 

《目次》

 

【1:作品情報】

原題:"KONG: Skull Island"

邦題:キングコング:髑髏島の巨神

製作国:アメリカ

公開:2017年

監督:ジョーダン=ヴォクト・ロバーツ

キャスト:トム・ヒドルストンサミュエル・L・ジャクソンブリー・ラーソン  他

          www.youtube.com

 

【2:ストーリー】

未知生命体の存在を確認しようと、学者やカメラマン、軍人からなる調査隊が太平洋の孤島“スカル・アイランド(髑髏島)”にやって来る。そこに突如現れた島の巨大なる“守護神”キングコング。島を破壊したことで、“彼”を怒らせてしまった人間たちは究極のサバイバルを強いられる。しかし脅威はこれだけではなかった。狂暴にしてデカすぎる怪獣たちが、そこに潜んでいた!
この島では、人類は虫けらに過ぎない・・・・・・そう悟った時は遅かった。なすすべもなく逃げ惑う人間たち。彼らがやがて知ることになる、島の驚くべき秘密とは!? 果たして調査隊は、島から脱出することができるのか!?

(公式サイトより)

 

【3:ジュラシックパーク?】

スカル・アイランドは、嵐の中心にある。台風の目のような場所で風雨・雷が吹き荒れる中を抜ければ、そこはスカル・アイランド。どこかで観たことのある場面。『天空の城のラピュタ』。監督は日本のカルチャーが好きらしいので、そこからインスパイアされたのだろうか。

嵐の中を抜けた一行(ヘリコプターに乗っている)。スクリーンには、スカル・アイランドの自然がロングショットで映される。またどこかで観たことのある場面。ヘリコプターと島。『ジュラシックパーク』だ。その場面の時、もう僕の頭の中では『ジュラシックパーク』のテーマが流れていた。また脳内補正でこの人がこの人に見えてしまった。

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上の人物は『キングコング:髑髏島の巨神』に登場する「ビル・ランダ」。下の画像は『ジュラシックパーク』に登場する富豪「ジョン・ハモンド」。よく見れば全く似ていないのだが、なんと言うか。雰囲気が似ていた。白髭とフェドーラ帽。雄大な自然の背景。たぶんこれらの条件が揃えば、全員ジョン・ハモンドに似てしまうと思う。

 

【4:とにかく暴れる怪獣たち】

この映画は「怪獣映画」だ。とにかく怪獣たちが暴れ回る。僕は怪獣映画をあまり観たことがなかった。『GODZILLA(2014年)』以来だ。この映画はどうなのだろう、と少し不安だった。しかし、IMAX 3Dで鑑賞したのもあって、迫力が凄かった。怪獣の次に登場するのは怪獣。その次も怪獣。合計で6つくらいのモンスターが登場する。コング、スカル・クローラー、デカイ蜘蛛、デカイ昆虫、デカイ水牛等々。「デカイ〜」と書いたが、そうとしか書けない。とにかく「デカイ」のだ。

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彼らはスカル・アイランドに適した状態で生活している。コングのような大きい捕食者から身を守るために竹林にカモフラージュをしていたり、水辺に沈んで身を潜めていたり。森の中で大木の倒れ木にカモフラージュしていたり。そのところは科学的考察なのか、しっかりと描かれていたように感じた。

 

【5:コング】

今作は何のための映画か?「コング」の映画だ。「コング」を世に紹介するための映画。劇中でコングは活躍していたか?大暴れしていた。スクリーンを飛び出しそうなくらいに。出演しているサミュエル・L・ジャクソンのインタビューによると、今作のコングはまだ成長期であるそうだ。歴代コングの中でも若いコング。時代をベトナム戦争時に設定したのも、現代にコングが登場するときに力や大きさなどに変更が効くから、というわけだ。

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ヘリコプターのプロペラを掴み、手の平にコングが怪我を負う場面がある。そしてその傷を湖畔で癒す。手を水の中に入れて。その場面を観ている時、人間を観ているようだと感じた。クライマックスでスカル・クローラー(上の画像のワニのような怪物)とコングが闘う。もちろん自然に生息しているわけだから、彼らが道具を使うわけがない。しかし、コングは「ある物」を使い、スカル・クローラーと闘いはじめる。この「ある物」を「道具」として認識し、それを利用して闘うという場面が、今作ではきちんと映されていた。コングの表情や動きなどで、こちらにそれが伝わってきた。モーションキャプチャーなのかフルCGなのか分からないが、素晴らしい演出だった。

 

【6:ストーリーについて】

 映画に重要なのはストーリーだ。この映画にそれがあったか、と聞かれたらほとんどない。そう答える。ストーリーが平坦すぎた。起伏がなかった。今作の予告編で「全編クライマックス!」と唄っているものがある。だからこそのストーリーがないのだと言いたい。自分の言葉で今作のストーリーを書いていく。

米軍複数人と科学者と写真家とその他諸々が、未知の島(スカル・アイランド)を探検しに行く。嵐の中にその島はある。ヘリコプターで行くらしい。無事到着。「調査」のため多くの爆弾をいきなり島に落とす。すると突如現れた巨大猿人類に一行は襲われる。多くの死傷者がでる。死傷者のほとんどが自分の部隊であるために、パッカード大佐(多分大佐)はコングに復讐を誓う。

ヘリが墜落してしまった一行。数日後に島の北に応援部隊がくるという。それまでに北端に向かわなければならない。複数の場所に墜落した一行は、別れたまま島の北端を目指して歩いて行く。道中たくさんの怪獣に出会い、再び死傷者がでる。

復讐を誓ったパッカードは、応援部隊と合流する前にコングを殺そうとする。色々あってコングを守ろう、という感じになった人達がパッカードの行動を止めようとする。コングはパッカードの作戦で火だるまに。その火が原因でスカル・クローラーが出てきてしまう。コング対スカル・クローラー。コングが勝つ。生き残った登場人物たちは無事応援部隊に救出される。コング雄叫び。

終わり。

 細かいところは抜きで、大まかなストーリーを書くとこんな感じだ。怪獣映画なのはわかるけれど、もう少し登場人物やストーリーに深みを持たせても良かったのではないかと思う。「怪獣映画だからこそ、深いストーリーはいらないんだ」という意見もあるだろうけれど、2014年のギャレス・エドワード監督の"GODZAILLA"は、それなりに「物語」があった。家族や父との絆だったり。けれど今作はサミュエル・L・ジャクソン演じるパッカード以外の登場人物に深みがない。最近よく、監督が描きたいものだけをひたすらに描いた作品を「自慰的映画」なんていうけれど、今作は本当にそんな感じだ。「僕は怪獣映画を作りたい!だから色んな怪獣を登場させよう!登場人物はとりあえず置いておけばいいよね」みたいな。僕にはそういう風にしか見えなかった。『地獄の黙示録』のオマージュもあるらしいけれど、それは演出的なオマージュであって、ストーリー自体に影響を及ぼすオマージュではないと感じた。王道の怪獣映画を求めて鑑賞する人はいいだろうけれど、ストーリー重視の人が観ると、あまり良い評価は得られないかもしれない。

 

【7:音楽について】

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今作では「やたらと」音楽が流れる。90年代のポップスだ。このシーンで必要なのか。と問いたいくらいに使われる。音楽を劇中に採用して成功した映画として、『ガーディアン・オブ・ザ・ギャラクシー』が挙げられる。この作品では音楽が効果的に採用されていた。然るべきシーンに然るべき音楽、というように。しかしこの作品では『ガーディアン・オブ・ザ・ギャラクシー』 を真似したかったのか知らないが、全く必要でないシーンだと思われるところに音楽が使用されている。例えるとヴィレッジ・ヴァンガード(雑貨屋)にイタリアのオペラ音楽が使用されている感じだ。唯一気に入ったのは、僕が好きなデイビット・ボウイの音楽が流された時だけだ。そもそも不自然なのは、ウォークマンとかで流しているならまだしも、レコードプレイヤーで流していることだ。何でコングがヘリを墜落させて、死傷者も出たのに、レコードプレイヤーは無事なのか。

 

【8:パッカード】

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サミュエル・L・ジャクソン演じる、パッカード。彼は今作の中で唯一軸を持った物語を持っていた人だ。彼は生粋の軍人。数々の戦いで功績をあげてきた。しかしベトナム戦争が集結すると同時に、彼は今後何をすればいいのか分からなくなる。なぜなら彼にとっての生きがいは、「戦争・戦い」そのものだったからだ。さらに彼は自分の部隊の仲間を大切にしている。その彼の部隊の多くがコングに殺されてしまう。彼は復讐を誓う。どこか日本的な人物だ。仇討ちを誓った侍のような。最終局面。憎きコングと対峙したパッカードは、コングを火だるまにすることに成功する。しかしコングは復活し、パッカードを踏み潰す。

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今作でサミュエル・L・ジャクソンは、コング以上に僕を引きつけ魅了した。何よりも彼の「眼の演技」が素晴らしかった。コングに彼の部隊がやられた後の表情。仲間の名前が刻印されたドッグタグを持った時の眼。コングを目の前にして対峙した時の眼。深い憎しみがこもっているのを感じた。最終局面で、カメラがパッカードの両眼とコングの両眼を交互に映す演出がある。どちらの眼も素晴らしい。これは素晴らしいことだ。なぜならコングはモンスターなのだから。鑑賞の際は、是非サミュエル・L・ジャクソンの眼の演技に注目してほしい。

 

【9:MONARCH】

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映画冒頭、ある人が持っているスーツケースに"MONARCH"と書かれている。エンドロール後の映像である人が"Welcome to MONARCH"と言う。僕の頭の中は、?マークがたくさん浮かび上がった。MONARCHって何? 調べてみた。どうやら"MONARCH"は2014年の"GODZILLA"にも登場しているらしい。サイト"Wikizilla"による情報をまとめてみた。

・MONARCHというのは第二次世界大戦中に日本政府とアメリカ政府によって極秘に結成された秘密組織。

・未確認生命体を捕獲し、研究する組織。

ゴジラの存在を最初に把握したのもMONARCH。

・スカル・アイランド/骸骨島に調査隊を送り込んだのもMONARCH。

・MONARCHのメンバーには、"GODZILLA"に登場した渡辺謙が演じている、「芹沢博士」も属している。

だそうです。簡単いうと、映画会社レジェンダリー・ピクチャーズがこれから展開する「モンスターバース(ゴジラキングコングなどの怪獣を同じ作品に登場させようと創り上げたユニバース)」を繋ぐための鍵となる組織。マーベル・ユニバースで言うところの"SHIELD"だ。どこもかしこもマーベルが同じ世界観に、異なるキャラクターも登場させる「ユニバース商法」を成功させたが故に、目を付け始めた。マーベルは成功した。DCはまだこれからだけれど、少し不安。レジェンダリー・ピクチャーズは、ゴジラやらキングコングやらが登場するのだから、成功を約束されていると言っても過言ではないだろう。

Monarch | Wikizilla | Fandom powered by Wikia

 

【10:エンドロール後まで席を立たないで!】

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レジェンダリー・ピクチャーズは、「ユニバース商法」の他に「エンドロール後のおまけ映像商法」も使ってきた。マーベルかよ!ってツッコミを入れたくなるくらい、マーベルのようになりたい感が溢れている。エンドロール後に何があるのかと言うと、『日本人なら知っているアイツやアイツ。さらにアイツまで!』これを言ってしまうとつまらないのでここでは書かないが、日本人なら興奮すること間違いなしの特典映像だ。正直今作のクライマックス・見所はこの場面なのでは?と思う程。とにかくエンドロール後まで席を立たないで欲しい。

 

【11:最後に】

今作は最初に書いた通り、「『ガーディアンズ・オブ・ザ・ギャラクシー』と『ジュラシックパーク』を混ぜたんだけど、うまく混ざらなかった、キングコング映画」だ。

"KONG: Skull Island" /『キングコング:髑髏島の巨神』の評価は、

 10点満点中 3.5点

怪獣はすごく迫力があったし、コングの映像もすごく良かった。けれど僕の中でポジティブな意見よりもネガティブな意見の方が上回ってしまったため、この点数となってしまった。けれど、この作品は映画館で鑑賞することをおすすめする。なぜなら「怪獣映画」としては最高だから。DVDでは決して味わえない迫力がある。4DXで鑑賞してみてもいいかもしれない。この映画はゲームとかアトラクションのようだから、より楽しめると思う。今後のレジェンダリー・ピクチャーズによる「モンスターバース」が楽しみだ。

"KONG: Skull Island" /『キングコング:髑髏島の巨神』、ぜひ鑑賞してみては。。